着物(きもの)は後世に伝えるべき日本の文化

 

女性にとって着物は憧れ、宝物

 

最近は20代にも人気の着物。着物は女性の正装であり、お出かけする時のお洒落着でもあります。とくに男性目線で見る時、多くの女性が袖も通すことのない着物を後生大事に箪笥の奥へしまっているのが如何にも不思議に見えます。着ないのなら棄ててしまえばよいのに、着る機会も無いのになぜ着物など欲しがるのだろう?

 

しかし、振袖、黒留袖、黒紋付き、訪問着などの礼装用の着物、外出用の小紋や紬の街着、どちらも女性にとっては憧れであり宝物なのです。

 

極端な話、女性は良い着物であれば袖を通さなくても、箪笥に入れて置くだけでも満足して心が豊かになるのです。どうせ着ないから、着る機会がないから着物は棄てる、などと言うのは一見合理的なようですが、女性からするととんでもないことなのです。

 

着物は日本固有の民族衣装

 

着物は平安時代(794−1192年)に着用された、衣服の小袖が始まりと言われています。そうすると凡そ1200年余りの歴史があることになります。洋服は日本に入って来たのが明治からとすると、まだ200年にもなりません。着物は日本で生まれ、日本で進化を遂げた日本固有の民族衣装で、その風習、習わし、特徴は文化そのものです。

 

明治以前に普通に着ていたものが、和服(着物)です。着物は洋服にその地位を奪われつつも今なお脈々と受け継がれています。

 

洋服にはない着物の魅力

 

着物を着ている女性を見かけると、美しい着姿と優雅な身のこなしで、いつの間にか視線が引き寄せられています。何故か着物を着ている女性は、その一つ一つの所作が自然で優美に見えるのです。

 

着物を着て帯を締めると背筋がしゃんとして姿勢が良くなります。着物を着ると手足の動きがゆったりとなり、歩いたり、座ったり、物を取るなど全ての動作が丁寧で美しく見えてきます。着物は着るだけで凛とした空気が漂い、女性の美しさを内面から引き出す力があると思うのです。

 

着物を着ると、初めは苦しくても段々と上手に着こなしが身に付くことで、自然と美しい姿勢や歩き方、優雅な所作が身に付きます。それは日本の伝統であり、和の心でもあります。母から娘へ、そしてまたその娘へと受け継がれてきたものです。その意味で大人の女性になる前にウールのアサンブルや浴衣を着せることも意味のある事でした。

 

着物の種類

 

着物には格付けがあります。大きく分けると第一礼装の着物・第二礼装の着物・街着です。
第一礼装の着物は振袖・黒留袖・黒紋付きなどの着物になります。第二礼装の着物は訪問着・色紋付き・付け下げなどになります。第一礼装、第二礼装の着物は正装としてお祝い事、式典などに着用します。

 

街着の紬は、小紋や紬の着物で、お出掛けの時の外出着、お稽古事などに着用します。絵羽柄の紬の訪問着もありますが、訪問着長の柄付けは一般の街着よりは格が上になります。

 

縮小する着物業界

 

日本文化を象徴する着物ですが、業界は年々縮小の一途を辿っています。1980年代凡そ1兆8千億円あった売り上げは、2016年は3000億円を割ったと言われています。着物の売り上げは年々年を追うごとに減少しています。街を歩く着物姿の女性を見掛けることもすっかり少なくなりました。今や着物業界は斜陽産業なのです。インバウンドで日本を訪れる外国人観光客に着物は人気があるのに皮肉な事です。

 

成人式に参加する女性の多くは多くは振袖を着て、結婚式では新郎新婦の母親は留袖を着ます。身内のお葬式では黒紋付きを喪服として着用します。日本から着物文化が失われることは無いように思えます。

 

しかし産業として成り立たないとなるとその将来は明るいものではありません。作り手の側から崩れて行くという事もあり得ない話ではありません。西陣織の職人さんもピーク時10,000人居られたのが、今は800人まで落ち込んだと聞きます。友禅の着物の描き手、紬を織る人、刺繍を作る人もいれば、螺鈿を生かす職人さんもいます。着物作りに携わる職人さんの仕事は沢山ありますが、職人さんへの成り手が居なくなれば、同時にその技法も世の中から無くなってしまいます。

 

箪笥の着物を生かす着物買取り

 

今低迷する着物業界で熱いのが「着物買取り」です。新規参入の業者さんも多く、日々店頭やネットで着物の買い取りが行われています。特にネットによる買い取りは業者の選別をすれば、後は送って専門家に鑑定してもらうと言う簡単な流れで買い取って貰うことが出来ます。逆に言えばそれだけ箪笥に眠っている着物にニーズがあると言う事です。

 

着物買取りはリサイクルショップや古着屋もありますが、着物の扱いが雑で査定も大雑把になりがちなので、専門に見てくれる人のいる着物買取業者に任せるのが良いでしょう。

 

袖を通さなくても大切に取って置いている着物も沢山あるのではないでしょうか?母親が用意してくれたもの、母から譲り受けたものなど着る機会がなくても棄てるに棄てられない着物が箪笥に眠っていれば、業者に買い取って貰って欲しい人の手に渡るのも良いと思います。眠っていた着物も必要とする人の元へ行けば蘇るかもしれません。

 

後世に遺したい着物文化

 

着物は日本古来の固有の民族衣装です。平安時代から1200年もの歳月を経て受け継がれてきました。着物姿には女性の内面の美しさを引き出す力があります。
着物は日本の伝統文化そのものであり、後世に伝える価値のあるものです。

 

しかし街で着物姿の女性を見掛けるのは稀になり、着物業界は縮小して、職人さんの減少も気になります。

 

着物業界は業界を活性化するために二つのことが大事だと思います。一つは着る場の提供をする事、もう一つは多くの人が自分で着物を着られるようになることです。着物パーティや着物を着ての観劇などの企画をする、全国で無料の着付け教室を展開する。着物に触れる機会を増やすことが、着物の魅力の再認識となり、潜在的な着物に対するニーズが目覚める事に繋がるかもしれません。